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3.1.3.3 SSRモードSの開発と監視機能の評価試験について
3.1.3.3.1 はじめに
現用の2次監視レーダ(SSR:Secondary Surveillanse Rader)は、測位精度の不足、干渉によるターゲットの欠落、過剰質問によるトランスポンダの飽和、管制通信の自動化を促進するには不十分なデータ取扱量などの問題が指摘されている。これらの問題を解決するために、ICAO(International Civil Aviation Orgamization)において監視機能を向上するとともにデータ通信機能を付加したSSRモードSの国際標準が制定され、各国において研究開発が進められている。当所では、我が国のSSRモードSの導入に備えSSRモードS実験システムを開発し、実験用航空機を使用した監視機能の評価試験を実施した。
本稿ではSSRモードSの特徴を述べ、運輪省電子航法研究所で開発したSSRモードS実験システムの概要及びモードSセンサの基本特性を示す。そして、評価試験の解析を示し、実験システムの監視性能をICAO指針との対比のもとに報告する。3.1.3.3.2 SSRモードSの特徴
SSRモードSではモノパルス測角方式や個別質問等の新技術を採用して前述の問題の解決を図っている。
3.1.3.3.2.1 モノパルス測角方式
SSRモードSはモノパルス測角方式を採用している。モノパルス測角方式は2つのビームパターン(Σ:和パターン、 :差パターン)を形成し、両パターンの信号強度の比( /Σ)が、航空機の方位とアンテナの中心方位との差(θ)に1対1に対応することを利用して(Sカーブ特性)、単一応答パルスより航空機の方位を測定するものである。図3.1.

図3.1.3−1 モノパルス測角

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3−1(a)(b)にビームパターン及びSカーブ特性を示す。モノパルス測角方式は従来のスライディングウィンドウ方式に比べて高精度な方位測定が行えるとともに、質問数を少なくすることで
干渉を軽減することができる。
3.1.3.3.2.2 トランスポンダの性能向上
表3.1.3−5にICAOによるモードSおよびモードA/Cトランスポンダの応答遅延とジッタを示す。モードSではトランスポンダの応答遅延の許容値およびジッタを縮小しているため、従来のSSRに比べて正確な距離測定が行える。

表3.1.3−5 応答遅延およびジッタ

298-2.gif

 

 

 

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